【接続詞】but か however か――「連結器」か「立て看板」か
「しかし」と言いたいとき、but を使うか however を使うか。
これは単なる単語の選択ではありません。
ここには、英語の「構造」を理解しているかどうかの分かれ道があります。
実は、but と however を「どちらも”しかし”だから同じ」と思って使っていると、ライティングで痛い目を見ます。英検・TOEIC・大学受験の文法問題でも頻出のポイントですし、ビジネスメールや英語論文でも、この使い分けを間違えると「英語が苦手な人が書いた文章」と一発でバレてしまいます。今日はこの2種類の語を、品詞のレベルから理解することで、もう二度と迷わない土台を作りましょう。
1. 等位接続詞は「連結器」:but / and / so
接続詞は、2つの文(車両)をガチャンとつなぐ「連結器」です。
役割:
前後の文を、物理的に一つの文としてつなぎ留めること。
イメージ:
[文①] ―(but)― [文②]
特徴:
連結器は、車両と車両の「間」にあるからこそ意味があります。
そのため、文頭にポツンと But… と置くのは、連結器が片方だけ浮いている、不安定な状態に見えるのです。
これが、フォーマルな場で文頭の But が避けられる理由の一つです。
実際の文で確認してみましょう。
I was tired, but I kept working.
(疲れていたが、私は働き続けた。)
「I was tired」と「I kept working」という2つの車両を、but という連結器がガチャンとつないでいます。1つの文の中に主語+動詞が2セット入っているのが見えますか?これが接続詞の力です。なお、カジュアルな会話では But を文頭に置くこともありますが、フォーマルなライティングでは避けるのが無難です。
2. 接続副詞は「立て看板」:however / therefore / moreover
一方、however などの接続副詞は、道端に立っている「立て看板」です。
役割:
前の文の内容をいったん受け止めて、
「次の道はこちらですよ」と方向を示すこと。
イメージ:
[文①] 。
(However,)→ [文②]
特徴:
看板は道端に「独立して」立っています。
だからこそ、一度ピリオドを打って前の文を完結させてから、
「さて、しかしながら(However)……」
と、新しく語り直すのです。
そしてここが核心です。
接続副詞はあくまで「副詞」であり、文にコメントを加える語にすぎません。
そのため、文と文を直接つなぐ力は持っていないのです。
この違いが、「ピリオドが必要かどうか」を決定しています。
先ほどの but の例文を、however に書き換えてみましょう。
I was tired. However, I kept working.
(疲れていた。しかしながら、私は働き続けた。)
前の文が「I was tired.」とピリオドで完結し、そのあとに However という立て看板が登場して「次の話はこちらへ」と方向を示しています。however の直後にカンマが入っているのも確認してください。副詞がコメントとして文に加わる際の、英語らしいスタイルです。また、however はカンマで挟んで文中に置くこともできます。例:I was tired. I kept working, however.(疲れていた。それでも、働き続けた。)この柔軟さも、立て看板ならではの特徴です。
3. 見分けるポイントは「カンマ」
試験や実務で迷ったときは、ここを見てください。
( ), we decided to go.
(A) But
(B) However
空所の後ろに「カンマ(,)」があります。
連結器(but):文を直接つなぐ → 直後にカンマは置かない
立て看板(however):文にコメントを加える → カンマで区切る
したがって、正解は (B) However です。
まとめ:大人の書き分け
接続詞(but / and / so)
・連結器(ガチャンとつなぐ)
・文と文をつなぐ品詞
・1文の中に S+V を2つ置ける
・カンマ直後には置かない
接続副詞(however / therefore)
・立て看板(方向を示す)
・文にコメントする副詞
・文を直接つなぐ力はない
・カンマで区切るのが基本
「連結器」か「立て看板」か。
この違いを意識するだけで、英文は“単語の並び”ではなく、“構造”として見えてきます。
� 練習問題:どちらが正しい?
次の2文のうち、フォーマルなビジネスメールとして正しいのはどちらでしょうか?
(A) The budget was limited, however we completed the project on time.
(B) The budget was limited. However, we completed the project on time.
答えは (B) です。(A) は however(立て看板)をカンマだけでつないでいます。立て看板には文をつなぐ力がないため、これは「コンマスプライス(comma splice)」と呼ばれる典型的な誤りです。however を使う場合は必ずピリオドで前の文を完結させ、However, と続けましょう。もし1文でつなぎたいなら、but を使うのが正解です。
「連結器(but)」か「立て看板(however)」か――この一言を思い出すだけで、英文の構造がスッと見えてくるはずです。ぜひ今日から意識してみてください!

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