「並ばない万博」は実現するのか?
2025年大阪・関西万博のパビリオンの抽選結果が発表され、ネット上では「第5希望まで全て落選した」という声が聞かれます。多くの人が「万博チケット売れてないから、当選するだろう」と考えていたようです。それもそのはず、チケットの売れ行きが芳しくないとの報道が続いているためです。
では大阪万博は実際に空いているのか、それとも混雑するのか?
まずは大阪万博の開幕直後の2週間に限定し、おおまかな来場者数を割り出してみます。
販売チケット枚数から見る1日の入場者数
開幕から4月26日までの2週間の混雑状況を予測するために、販売済みのチケットを確認します。特に販売枚数が多いチケットは以下のとおりです。

開幕2週間に利用可能な主なチケット
- 開幕券(4/13〜4/26)販売枚数: 189,043枚
- 前期券(4/13〜7/18)販売枚数: 279,101枚
- 一日券(通期)販売枚数: 7,163,860枚
- こども招待一日券(通期)販売枚数: 209,773枚
その他の利用可能チケット
- 特別割引券
- 通期パス
- 3歳以下無料券
- 一般団体割引券
- 前期学校団体割引券
- おとな招待一日券
開幕2週間の来場者数予想
単純に14日間で割ると、 189,043 ÷ 14 = 約12,590人/日
万博協会の予測では1日 150,000人 以上の来場者が見込まれていますが、開幕券だけではその10分の1程度にとどまります。
では、開幕券以外のチケットはどの程度活用されるのでしょうか。
「前期券」も開幕2週間に使用可能ですが、「開幕券」より1000円高く利用期間が長いため、来場の可能性は相対的に低いと考えられます。…②
では、「一日券」「招待券」においても同じことが言えるのでしょうか。
実は「一日券」の販売枚数の大半が、企業による購入です。ですから従業員や取引先へ配布するケースが多く、開幕直後に使用される可能性もあります。
また、「こども招待一日券」は府や市を通じて申請制で配布されるため、一定数の利用が見込まれます。
この2種類のチケットがいつ使用されるのかによって、開幕2週間の混雑状況は大きくかわってきます。
さらに、まだまだ販売枚数の少ないチケットの中に「通期パス」があります。「通期パス」は何度でも入場可能なチケットですから、コアな万博ファンでが開幕直後に訪れる可能性が相対的に高いと考えられます。
その他にも来場者数が増える可能性があります。
当日券販売の罠
購入手続きの複雑を解消し、販売促進を図るための策として当日券の導入が検討されています。
販売については、2025年3月4日現在、詳細が発表されていません。しかし、当日券販売が開始されると、予想来場者数に変動が生じる可能性があります。
並ばない万博は実現するのでしょうか。
予想来場者数1日あたり15万人がどんな数字なのか
万博協会の来場者予測数は1日あたり15万人以上です。では、この数字が大阪万博の会場(155ヘクタール)において、どのような混雑状況になるのかを試算します。
155ヘクタールの会場に15万人が来場した場合の混雑シミュレーション
【計算のステップ】
- 会場の総面積の計算
- 1ヘクタールは10,000平方メートルです。
- 155ヘクタール = 155 × 10,000 = 1,550,000平方メートル
- 来場者1人あたりの面積
- 来場者数は150,000人。
- 1,550,000平方メートル ÷ 150,000人 ≒ 10.33平方メートル/人
→ 平均して、各人に約10平方メートルのスペースが割り当てられる計算です。
- 面積あたりの人数(密度)
- 密度 = 150,000人 ÷ 1,550,000平方メートル ≒ 0.097人/平方メートル
→ 1平方メートルあたり約0.1人がいるイメージになります。
- 密度 = 150,000人 ÷ 1,550,000平方メートル ≒ 0.097人/平方メートル
【この数字が意味するもの】
- 一般的な音楽フェスでは、混雑時に 1平方メートル/人 しか確保できないこともあります。
- 万博では 約10平方メートル/人 なので、数値上は比較的余裕があります。
- これは 6畳の部屋(約10平方メートル)に1人 いるのと同じ広さです。
- 理論値 ではゆったりしていますが、来場者は均等に分散しません。
- メインステージ、人気パビリオン、フードエリア などには人が集中し、局所的な混雑が発生する可能性があります。
チケット販売不振。本当に大阪万博は混まないのか?
万博のチケット販売状況を見ると、「空いているのでは?」と思うかもしれません。しかし、
- 企業購入の1日券 がどの時期に使用されるか?
- 当日券販売の影響
- コアな万博ファンによる通期パスの活用 などを考慮すると、予測通りに来場者が分散するとは限りません。
また、予約制を取り入れていないパビリオンの入場は、希望の時間帯に入れるとは限らないため、人気エリアは混雑する可能性が高いです。
まとめ
- 全体としては余裕のある広さ だが、
- 局所的な混雑は発生する可能性が高い
- 企業購入チケットや当日券販売次第で混雑度は変動
- 予約制以外のパビリオン入場は、行列の発生は十分考えられる
結論として、「万博は空いている」と言い切るのは ウソ かもしれません。ただし、来場者の分散が上手くいけば、「並ばない万博」も実現するかもしれません。
万博に行くなら、事前の計画がカギとなりそうです。